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2012.07.08食事療法

医療相談22 どの程度の食事制限が必要?

Q) 69歳の男性です。

近くの開業医より慢性腎臓病と言われカリウムと塩分と蛋白の制限を指示されています。
果物野菜肉類が好きなのですが、食事制限の程度が明確でなく、自分で若干気をつける程度です。
食事制限について、どのくらい気を付けなければいけないでしょうか?
現在、尿蛋白なく、血清クレアチニン1.19 mg/dL, 血清カリウム 5.4 mEq/L
尿酸値正常で、高脂血症や糖尿病はありません。
血圧は、降圧薬内服中で収縮期血圧 135 mmHg, 拡張期血圧 85 mmHgです。
運動もよくする方だと思います。
よろしくお願いします。

A)お答えしたいと思います。

まず、現在の腎機能障害の程度についてですが、現在の腎機能の推定値は推算糸球体ろ過量(eGFR)で計算すると eGFR=47.6 ml/min/1.73m2 ということになります。
おおざっぱにいうと現在機能している腎機能は50%弱ということになります。

最近、日本腎臓学会にて発表されたCKDガイド2012では、将来の腎機能悪化や心血管病の発症を「eGFRと尿蛋白量」である程度予測できることが示されています。

eGFRが低ければ低いほど、また、尿蛋白が多ければ多いほど、末期腎不全や心血管病の発症リスクが高まります。

eGFR=47.6 尿蛋白なしというあなたの条件の場合、CKDガイド2012で示されている危険率(オッズ比)は、eGFR 60以上かつ尿蛋白がほとんどない群と比較すると、末期腎不全になるリスクが5.2倍、心血管死亡リスクが1.5倍となります。

従って、やはり末期腎不全に至らないよう、また心血管病を発症しないために、投薬治療や食事療法が必要ということになります。

食事制限としては、

①塩分制限が必要になります。
塩分摂取量は血圧と直結します。血圧の目標値は 130/80 mmHg未満になります。
あなたの場合、血圧はあともう一息といったところであり、塩分摂取が腎臓に負担になっている可能性があります。
推奨塩分量は 一日 6 g以内 に抑えることが必要です。

なかなかこの塩分制限を達成できる患者さんは少ないのが現状で(日本人の平均塩分摂取は11.8g程度です)、常に塩分には注意をしていた方が良いと思います。

ただし、夏場の炎天下で肉体作業をしたり激しいスポーツをするような極端な場合においては、水分のみを摂取していると体内の塩分バランスが崩れることがありますので、そのような時には少量の塩分の入った飲み物を摂っていただくのは熱中症予防には重要と思います。

厚生労働省の「職場における熱中症予防について」によると、作業中の水分・塩分摂取量は身体作業強度により異なることを前提としていますが、かなり高暑での作業時には(作業管理では暑さ指数WBGTという指標が用いられています)、0.1~0.2 %の食塩水やナトリウム含有量 40~80 mg/mlのスポーツドリンクや経口保水液を20~30分毎にカップ1~2杯程度摂取する事が望ましい、とされています。

一日塩分 6 g というのは、ベースの塩分摂取量の目安と考えていただいて、体内から塩分や水分量が失われる場合には、その分補充するという考え方がよいのではないかと思います。

②カリウム制限も必要です。

血清カリウム値は、5.0 mEq/L未満の方が望ましいと思います。
あなたの血清カリウムは高めのようなので、食事摂取を抑える必要があります。
制限量としては、一日 2000 mg以内にした方が良いと思います。

カリウム含有量などは、食品成分表というものがあるので、それから計算してもらえばよいと思います。

以前は、書籍を購入する必要がありましたが、今はインターネットなどでも簡単に調べることができます。

五訂 日本食品標準成分表 などをご参考下さい。
http://cgi.members.interq.or.jp/sapphire/satoshi/cgi-bin/nutrition/

③蛋白質制限も必要になります。

推奨蛋白摂取量は、標準体重あたり(実体重ではないことに注意してください。) 0.8 g/Kg 程度になります。
標準体重が60 Kg前後程度だとすると、おおよそ蛋白摂取量は一日 50 g程度になります。
食品の蛋白含有量についても上記の食品標準成分表を参考にしてもらえばよいと思います。

これらの食事療法については、栄養士からの食事指導により具体的な工夫について指導してもらうことも可能です。

開業医さんで食事指導が難しい場合は、腎臓内科のある近隣の病院を紹介してもらい、専門的意見を頂くこともよいのではないかと思います。

主治医にご相談してもらえばよいと思います。

以上、ご参考下さい。

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