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2010.02.02【ニュース】
第43回臨床腎移植学会で発表!
腎臓内科から血液内科に短期研修に行っているDr.カンヌーが、『ドクトル・カンヌー漂流記』において骨髄移植を経験した感想を色々述べてくれています。
どの臓器であっても、移植医療は先端医療であり、未知の現象がおこる興味深い分野だと感じます。
信州大学腎臓内科は積極的に腎移植医療を推進している科でもあります。
一般的に腎移植医療は、移植手術を行う泌尿器科や外科の先生が中心に行ってきた経緯がありますが、移植術後の経過が良好になるにつれ、いかに移植された腎臓の状態を良好に保つか、またいかに合併症を防ぐか、といった全身的内科管理の重要性が指摘されるようになっています。
信大腎臓内科は、移植患者の術前検査、術後ICU管理、術後外来経過観察、そしてドナーの術後経過観察に至るまで腎移植医療全般に関わっています。
そういった治療経験を学会でも発表するべく、2010年1月末に高知で行われた第43回臨床腎移植学会で症例発表を行ってきました。
今回は、信州大学腎臓内科 高橋寧史医師が、腎移植血流不全が長時間続いたのにも関わらず積極的治療により奇跡的に腎機能が回復した一症例について、症例報告を行ってきました。
症例報告後のディスカッションでは多くの質問や意見が出され、症例への理解が大変深まったと思います。
また、その他にも色々な講演や症例発表を聞くことで、大変貴重な勉強をすることが出来ました。
『ドクトル・カンヌー漂流記』では、骨髄移植の世界が紹介されていますが、将来的には腎移植と骨髄移植を同時に行うという治療法も研究されているようです。そうすることで、免疫抑制剤を飲まなくても拒絶反応が起こらなくなるというメリットがあり、実際にアメリカでは臨床応用もされつつあるとのことです。学会は、そのような未来医療に触れあう貴重な機会でもあります。
さらに今回の学会では、樋口准教授に加えて、上條祐司医師も腎移植専門医として正式に認定されることが決定されました。
今後はさらに、腎臓内科一丸となって腎移植医療にも力を入れていく予定です。
腎臓病患者さんが腎機能を失わないように努力するのが、まず第一ですが、失ってしまった腎機能を蘇らせるのも重要な分野だと思われます。
腎移植の未来を、土佐の坂本竜馬の先進的な気風に重ね合わせて実感することが出来た学会でした。