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Dr.H の徒然日記 記事詳細

2011.09.13Dr.H の徒然日記

中国での体験

ブログでは久しぶりの登場となりました。Dr Hです。先日、腹膜透析の勉強のため北京大学第3病院のTao Wang教授のプログラムに参加する機会を得ました。ちょっとだけそこでの体験を書いてみますね。

このPDプログラムにおいては様々な制限のなかで、出来る限り患者さんたちが元気な状態で過ごせるように医師、看護師、栄養士、エキスパート患者(!)によって構成される組織がありました。中国の腹膜透析事情は我々の置かれている状況といろいろ違い、それに対して対策をとっておりました。例を挙げますと保険制度は日本と違い、個々の保険によって自己負担額が異なるのだそうです。このため、患者さんによっては経済的な問題から使用できる透析液量が限られてしまうのです。腹膜透析においては、使用する透析液量により除去できる尿毒素の量が決まってきます。とすると、たくさん透析液の使えない患者さんは毒素が溜まり、多少具合が悪くても我慢しなければならないのでしょうか?答えはもちろん「No」です。透析+残っている腎臓の機能により必要十分な毒素や水分、電解質などの除去を行わなければなりません。透析で除去できる量が限られる以上、残っている腎機能の役割は毒素の除去において非常に重要です。

一般に腎不全の患者さんは腎臓の働きが悪くなるにつれ、腎臓の負担を減らし、排泄する力の落ちている物質はとりすぎないようにと、食事制限が厳しくなっていきます。食事療法を行うことにより腎不全の進展が鈍化できることが知られているからです。しかし、一般に腹膜透析導入後は腹膜透析に伴ってある程度失われてしまうこともあり、食事制限が緩やかになります。しかしここで食事療法を緩めないというのがTao Wang流の一つのポイントでした。すなわち「透析導入後も厳格な食事療法を継続することにより残存腎機能を温存する」という考え方です。そして厳格な食事療法を行うことによるもう一つのメリットとして、食事から摂取された物質の燃えカスである、毒素の産生も減るのです。この残存腎機能の保持による排泄能の確保と毒素の産生が抑えられることで、必要とされる除去量が減り、腹膜透析+維持される残存腎機能により十分量の除去を行うことができる、という訳です。

ただ、実際にこれを行うに当たっては非常に困難を伴います。ここで重要なのは医者ではなく、栄養士さんであり、また、実際にうまくやっている患者さんの体験です。こうしたエキスパート患者さんの成功体験というのは、なるほど医者の話より何倍も生活に即した有効な指導だと思いました。

他にも色々なコツ・理念というものがありましたが、こうした医師、看護師、栄養士、エキスパート患者たちの連携と熱意があって、多くの数の患者さんを相手に、良好な治療成績を上げているのだと感じました。

では振り返ってわたしたちの置かれている現状を見ますと、いろいろな薬や手法が選択でき恵まれた状況にあります。色々使える分、時にはついつい「力技」的な状況に陥ってしまうこともあります。「力技」というのは、一時はよくても、長期的には腹膜透析を続けられる時間が短くなってしまう恐れもあります。中国より、あらためて自分の医療を見つめなおした体験でもありました。

 

北京大学第3病院 すごく広いです

CIMG5539.JPG とりあえず中国っぽいところも

CIMG5865.JPG

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