1. HOME
  2. 業務内容
  3. 信州大学腎臓内科の特徴

業務内容

信州大学腎臓内科の特徴

1. 腎臓病に対する総合的医療

腎機能低下のリスクとなる腎炎や生活習慣病(高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病など)の精査治療・全身管理・患者教育に始まり、腎不全期の保存的加療や、血液透析・腹膜透析・腎移植といった腎代替療法に至るまで、総合的に実践しています。腎臓病診断のために腎生検を主な検査手段として、可能な限り確定診断と状態の把握を行い、最適な治療を提供しています。また、腎臓病患者や家族さんのための腎臓病教室(年4回開催)を開催し、腎臓病の啓蒙活動も行っています。腎代替療法に関しては、血液透析及び腹膜透析の施行はルーチンワークとして行っており、それ以外にも腎移植医療に深く関わっています。腎移植手術自体は泌尿器科で施行していただいておりますが、信州大学腎臓内科では、移植希望患者の移植適応の決定、移植計画の設定、移植術前の検査や全身管理、移植術後管理、ドナーを含めた外来経過観察を行っています。腎臓病のあらゆる段階に必要な医療全てに関わり、理解することで、様々な治療オプションの設定が可能となり、個々の状況に応じた治療が可能になると考えています。信州大学腎臓内科では、腎臓病患者のtotal supportを目指しています。

2. 幅広い疾患・臓器との関わり

腎臓は、あらゆる臓器の中で最も重要な体内環境維持装置です。従って、腎臓機能の破綻により、体液の恒常性が維持できなくなると、様々な影響が他臓器(心臓、脳神経、血管、肺、消化器、血液、骨・関節、眼、皮膚、免疫系細胞、精神環境など)に及びます。逆に、様々な疾患や他臓器の異常は、腎臓への負担となり腎機能障害を引き起こします。腎臓内科医は腎臓だけを診ればいいのではなく、これらの全身的疾患に対する理解と対応力が求められます。腎臓内科は、そういった意味で、内科の中でも最も幅広い疾患群を対象としています。

3. 血液浄化療法への関わり

腎臓は、体内の中で最も重要な排泄器官として、不要な老廃物、水分、ミネラル分の血中からの除去を行っています。従って、腎機能が低下すると様々な物質が体内に蓄積してきます。腎臓内科は、このような体調不良因子の蓄積という場面に遭遇することが最も多いため、血中からの病因除去療法である血液浄化療法(血液透析、血液濾過透析、持続透析、腹膜透析など)に最も深く関わり精通しています。
血中からの病因除去が必要な場面は、腎不全以外にも、下記のような状況で起こります。

  • 1. 救急領域疾患
  • 2. 動脈硬化性疾患
  • 3. 肝疾患
  • 4. 消化器疾患
  • 5. 自己免疫疾患
  • 6. 神経疾患
  • 7. 血液疾患
  • 8. 皮膚疾患  ...など。

そのため、信州大学腎臓内科は、様々な血液浄化療法(血漿交換療法、免疫吸着療法、直接血液吸着療法、白血球除去療法など)の中で最適と思われる治療法を選択し、各診療科と連携し、難治性病態と常に戦っています。
また、血液浄化療法の一種ですが、難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)にも積極的に取り組んでいます。信州大学では、DC-CARTという信州大学オリジナルの方法を考案し、多くの難治性腹水患者の予後改善に貢献しています。
一般的な内科医療とは、薬の投与や体内不足物の補充による“加える治療”が主体となりますが、腎臓内科は“加える治療+除去治療”が実践できる特異的な部門であり、その守備範囲は、病院全体と考えています。

4. 手術療法への関わり

信州大学腎臓内科は血液浄化療法に深く関わっているため、その実践に必要なあらゆる手技を身につける必要があります。血液浄化療法は、体内から十分な血液を取り出すことが前提となるため、そのための血管手術(内シャント設置術、長期留置カテーテル挿入術など)や血管拡張術を施行する必要があります。信州大学腎臓内科は内科でありながら、このような手術手技も実践しています。最近では、今まで他科や他病院にお願いしていた腹膜透析カテーテル挿入術や人工血管移植術も当科で施行するようになり、手術件数もここ数年著しく増加しています。内科の中では、最も手術室に出入りすることが多い診療科であり、腎臓内科の特徴的な部分と思います。このような外科的手技の取得は、内科であっても透析患者に起こるあらゆる緊急事態に対応可能という点で、大変に重要だと考えています。

5. 臨床研究・基礎研究との関わり

新たに発見した研究結果を世界に発表し、未来の医療に貢献するという事が、大学の使命の一つです。信州大学腎臓内科では、常に研究心を失わないように全ての医師が研究活動や学会発表を積極的に行っています。研究内容としては、希少病態の症例研究、慢性腎臓病患者の予後追跡研究、慢性腎臓病患者の肝炎・貧血・心血管系イベントなどに関わる疫学研究、慢性腎臓病患者の薬物動態研究、慢性腎臓病発症メカニズムに関する基礎研究、などを主に行っています。臨床研究は、大学のみならず長野県内の主だった診療機関と連携し行っています。長野県は、都会に比較し、患者の居住地移動が少なく同じ病院に長くかかるという傾向があるため、追跡調査がしやすいという側面もあり、多彩な疫学研究が可能となる土壌があります。
基礎研究に関しては、信州大学大学院代謝制御学講座や信州大学病理学教室・中央検査部などと連携し、分子生物学的研究・生化学的研究・腎病理研究といった多彩な基礎研究活動も行っています。特に最近は、遺伝子改変マウスを用いた腎障害モデルを作成し、様々な腎障害進展メカニズムについて研究することで質の高い基礎研究が行えるようになっています。その研究成果は、国際学会での発表や一流誌への論文掲載という形で公表され、世界的にも注目されています。
腎臓内科では、研究心に富んだ人は大歓迎です。自分のやりたい研究がある場合、また現時点では何をやっていいか不明であっても研究意欲がある場合、腎臓内科は“あなた”を最大限バックアップします。

腎臓内科業績集PDFダウンロード

腎臓内科業績集PDFダウンロード

6. 女性医師に優しい腎臓内科


昨今、お子さんを持った女性医師が家庭と仕事の両立が難しく、なかなか十分に働けない、といった話題を耳にします。信州大学腎臓内科は、女性医師の働きやすい環境を整えることを、最重要視している診療科だと自負しています。当科は血液浄化療法と密接に関連していますが、血液浄化療法は緊急事態を除いて、基本的に施行時間が決まっているため、仕事の分配がしやすいといった特徴があります。当科では、診療の時間配分が決めにくい診療(病棟診療や緊急時の診療)に関しては、男性医師や時間外診療が可能な環境下にある女性医師が堅守し、時間内診療に関してはお子さんのいる女性医師に大活躍してもらっています。女性医師の能力を埋もれさせず、常に活性化し続けてもらうことで、医師不足になっている地域医療に貢献してもらうこと、また少子化の日本にあって、その未来を支える優秀な子供達を育てる環境を阻害しないこと、が非常に重要だと考えています。信州大学腎臓内科は、お互いの立場・環境を理解し支えあう、思いやりのある医療環境を目指しています。

このページの先頭へ